BREAKERZ 10番勝負公演、いよいよセミファイナル!
仲良しゴールデンボンバーとの公演はつかの間の休息!?

今年7月にデビュー10周年を迎えるBREAKERZが企画した2マン・ライブバトル「BREAKERZ 10周年 10番勝負 -VS-」第8戦を終えた2日後の4月16日、対戦の熱も覚めやらぬまま第9戦が開催された。4月に入ってから既に3つの勝負を繰り広げた彼らにとって、今宵の対戦相手は憩いの場のような存在だったに違いない。その相手とは、公私ともに親交の深いバンド・ゴールデンボンバー!
その仲の良さはファンの間でも広く知られており、今回の対戦で両バンドによる2マン・ライブが初めて実現する貴重なステージとあって、会場のZepp Tokyoは開演前から大きな期待と興奮が充満していた。待望の公演となった対戦の結末はいかに!?両者の絆とリスペクトが溢れた10番勝負セミファイナル、9thバトルの模様をレポート。

開演時刻の17時過ぎ。スクリーンに映し出されたうぃっしゅポーズのスカルのMC映像で今回の勝負内容が紹介され、先手・赤コーナー、ゴールデンボンバーのステージがスタートした。オープニングを飾ったのは4月5日にリリースされたニューシングル「#CDが売れないこんな世の中じゃ」。音楽番組でのパフォーマンスや音楽業界の現状に切り込んだ歌詞と鋭いサウンドが話題になっている1曲だ。勢い良くステージに現れた4人に沸き立つ会場。鬼龍院翔(Vo-karu)の“タオル振り回せるか! かかってこいやー!”という言葉に一斉にタオルが振り上げられ、フロアの熱気が一気に上昇する。“どうもゴールデンボンバーです。よろしくお願いします”と挨拶した後、そのまま突入したのが、シンセサウンドとたたみかけるリズムが刺激的な「毒グモ女(萌え燃え編)」。オーディエンスの“飛べ飛べ!”の声が大きくなり、そのジャンプがフロアを揺らす。この曲にはヴィジュアル系バンドのライブで繰り広げられる観客の振り付けが詰まっていて、間奏ではメンバーそれぞれがレクチャー。その振りの締めがDAIGOの“うぃっしゅ”ポーズとあって、一体感が増したのは言うまでもない。しかもこの日は鬼龍院と喜矢武豊(Gita-)によるロックステップ付き。リスペクトを盛り込むパフォーマンスからは、メンバーがこの日を楽しみにしていたことが伝わってきた。

熱を帯びたまま迎えたメンバー紹介では、それぞれが近況を交えながら進行。歌広場淳(Be-su)は近日DAIGOと番組共演する予定を明かし、喜矢武はアカデミー賞を受賞した「ラ・ラ・ランド」をおススメし、樽美酒研二(Doramu)は日頃のトレーニングの話題からその成果を自分にしか出来ないパフォーマンスで披露するという。何か起こりそうな匂いぷんぷんの中「抱きしめてシュヴァルツ」が始まった。ゴールデンボンバーのステージでは各パートのソロがパフォーマンスの目玉だ。ドラムソロでの樽美酒は自慢のボディを見せながら肉体派の有名人の顔パネルで自分の顔を隠す体モノマネを実行し、そこにSHINPEIやAKIHIDE、最終的にはDAIGOの顔まで登場するという展開に会場は大笑い。ギターソロでは白い衣装に羽を付けた喜矢武が“ラララランドセル”なDAIGOに扮し、女子小学生姿の歌広場と共にCMを再現するという、BREAKERZへの愛がたっぷり詰まっていた。また「酔わせてモヒート」でもユニークな演出が繰り広げられ、喜矢武が得意のダンボール工作でデフォルメした“ビッグフェイスくん”(DAIGOの描いた絵本の主人公)姿で登場したり、B'zへのリスペクトを込めて作った楽曲「ultra PHANTOM」ではダンボール製のギターの着ぐるみに身を包んだ喜矢武自身が声でギター音を表現するという大胆なパフォーマンスに目を奪われた。そして激しい曲中心の中で登場した、80年代の雰囲気をまとう「アモーレ」(ニューシングルのカップリング)の存在も忘れられない。情熱的なヴォーカルに耳を傾け、サビ部分ではBOXステップ。その動きが浸透していく場面も印象的だった。

ステージ後半は暴れるにはもってこいのナンバーが立て続けに登場。メンバーの動きも激しくなり、その中で歌い続ける鬼龍院の声は圧倒的な存在感を放っている。「ローラの傷だらけ」で中央のお立ち台に立ってヘッドバンギングする鬼龍院とその下で歌舞伎の連獅子のように高速で頭を回す歌広場の最強コンビネーションは、ライブでしか見られない。刺激的な空間となった会場は「欲望の歌」で濃度を増し、歌広場の叫びで会場がヘドバンの嵐に。畳み掛ける激しいサウンドが脳内を浸食する「†ザ・V系っぽい曲†」がラストに投下され、樽美酒のデスボイスが響く中、フロア中がおりたたみ(上半身を前のめりになる)体勢になり、終盤で“ゴールデンボンバー演奏しろ!”コールが響き渡る。ユーモアと荒々しさが交差するパフォーマンスは、10番勝負の中でも異端な存在であることは間違いない。“BREAKERZさん、後は頼んだ!”という鬼龍院の言葉と共にゴールデンボンバーのステージは終了した。

そしてステージ転換を経て、後手・青コーナー、BREAKERZステージが幕を開ける。お馴染みのSEが流れると手拍子が起こり、SHINPEI、AKIHIDE、DAIGOの順で姿を見せると歓声はさらに大きくなった。オープニングを飾ったのは力強いメッセージが詰まった勢いのあるロック・ナンバー。オーディエンスの手が一斉にステージに向けられる光景はいつ見ても壮観だ。その後はDAIGOの“Zepp飛べー!”が轟くソリッドなパワー・チューンを披露。序盤から振り切れた展開を見せた。そして1st MCでは今回の対戦について、第8戦の vs VAMPSを終え、第10戦のvs GLAYを控えた状況とあって“つかの間のオアシス”と本音を漏らすDAIGO。気を遣わずにフランクで居られることで、いつも以上にリラックスして歌えそうだと嬉しそうに話す様子が印象的だった。さらに今回の10番勝負開催にあたり、第1回目の会議で勝手にゴールデンボンバーを“決定済み”枠にしていたというエピソードも。“ゴールデンボンバーにできなくて俺達ができることは、ちゃんと演奏すること”と笑いを誘いつつ“今日はGB(=ガツンと ブチかまそうぜ)でいきましょう!”とDAI語入りで意気込みを語った。その後はきらめきが詰まったハッピー・チューンで会場を華やかにしたかと思えば、ヘドバンが入り乱れるナンバーで圧倒。SHINPEIとAKIHIDEもステージを動き回り、熱気を確かめるようにオーディエンスを煽っていく。他にもドラマティックな展開が魅力のメロウな曲や情緒溢れるミディアム・ソングなど、 表情豊かな構成でステージは進行。ダンサーを交えてショーアップした楽曲やライブに欠かせないタオルを回すアグレッシヴなナンバーも、BREAKERZのライブを初めて見る人を引き込むパワーを放っていた。

メンバー紹介ではそれぞれが今回の対戦についてコメント。SHINPEIは楽屋で樽美酒と筋肉談義に花を咲かせたという微笑ましいエピソードを述べ、AKIHIDEはある意味異種格闘技戦だと分析していた。DAIGOは金爆ファンから“DAIGO兄さん”と慕ってもらえることが嬉しいと漏らした後、実際に観客に呼び掛けてもらって嬉しさを爆発させていた。そしてゴールデンボンバーとの深い友好関係を見せつけられたのが、この日のために作ったという新曲の披露。彼らのことを思い切りリスペクトした内容で、BREAKERZ史上初の曲中にデュエット・パートがあることが告げられると、どよめきが起こる。ダンスビートに乗せて切ない女心が歌い進められ、注目のデュエット・パートに突入した時、女性に扮した鬼龍院が登場してDAIGOの隣で艶っぽく歌い上げるという嬉しいサプライズが。会場の驚きの声の大きさが、その衝撃を物語っていた。この新曲がBREAKERZにどのような作用をもたらすのか。今後に注目だ。

アンコールで再登場した各メンバーは笑顔全開。DAIGOと鬼龍院が一緒に現れ、AKIHIDEに抱きつく喜矢武とその光景を見て加わる樽美酒、SHINPEIの側を離れない歌広場と、両バンドの仲の良さが際立つシーンのオンパレードに、会場は大騒ぎ。ピースフルな雰囲気に包まれる中、今日のライブについて鬼龍院が“僕らも緊張しなかった”と告げたことも2組の相性の良さを物語っていた。ここでもサプライズは続き、鬼龍院と喜矢武から日頃お世話になっているDAIGOに向けて、誕生日プレゼントとして大きなお肉が贈られる1コマも。お楽しみのコラボレーション・タイムでは「DESTROY CRASHER」で各メンバーがシャウトと煽りを浴びせると、オーディエンスはヘッドバンギングと折りたたみで応える。その盛り上がりを切り取った記念撮影の後、また対戦しようと固い約束を交わすと、大きな拍手が起こった。そして最後を飾ったのは、ゴールデンボンバーの代表曲「女々しくて」。バンドの生演奏にDAIGOと鬼龍院の歌声が重なり、パワーアップした演奏はこの日だけのスペシャル・ナンバー。会場にいる全員が、ステージではしゃぐ彼らをずっと見ていたいと思ったのではないだろうか。最初から最後まで笑顔しかなかった一夜限りのお祭りは、中央のお立ち台に乗った7人の“最高うぃっしゅ”で幕を下ろした。

「BREAKERZ 10周年 10番勝負 -VS-」は最終決戦を残すのみ!その相手は、日本のロック・レジェンド、GLAY!最上級のリスペクトを持ってBREAKERZはどんな戦いを繰り広げるのか。その日は刻々と近づいている。

Text:森 恵美
Photographer:MASA,小境 勝巳